3月になると、マスクをして辛そうに歩いている方々に多く出会います。花粉症は、なった人でなければわからない、とても不愉快な病気です。
以前は小児の花粉症は少ないとされていましたが、最近の小学校の調査では、子供のスギ花粉症の増加傾向がみられます。
しかしスギ花粉の飛散時期は、季節の変わり目で暑さと寒さが交互にくる季節なので、鼻水がでやすい時期です。そのため、ただ「鼻水が続いている」という症状だけで、「花粉症」と決め付けてしまうのはいかがなものかと思います。
では、「花粉症」かそれ以外の病気かを判断するにはどうしたらよいでしょう?
10:00~16:00にかけて症状が悪化する場合は花粉症の可能性
花粉症の特徴は次のようになります。
a) 発熱や喉の痛みなどの症状が少ない
b) 眼の痒み、充血などの眼症状が高率にみられる
c) 症状が数週間続く
さらに症状が悪化する時間帯が重要なポイントです。
花粉症の多くは、花粉が飛散する午前10:00~午後4:00頃にかけて症状が悪化します。
一方、気温が最も低くなる朝方に悪化する場合は「血管運動性鼻炎」という、温度差によって鼻水がでる病気の可能性が高いと思われます。
また、小児は訴えを自分でうまく伝えられないことが多いため、症状を慎重に観察するとともに、一度きちんとしたアレルギー検査を行い、鼻水や眼の痒みの原因が本当にスギ花粉によるものかを調べておきましょう。
検査には血液検査、鼻汁中好酸球検査、皮内テストなどがあり、これらにより、アレルギーの原因がスギだと思っていたものが、実はダニだったりと、治療に役に立つ情報を得ることも多々あります。
子供の花粉症治療
小児の花粉症の治療はどのようなものがあるのでしょうか?
花粉を避ける -抗原回避(こうげんかいひ)-
マスクによる花粉回避が一般的ですが、子供はずっとマスクをしていることを嫌がってしまいます。また外遊びを禁止することも難しく、家に入る時に服をはたいたり、外出後はできるだけ早くシャワーを浴びる、などの工夫で花粉を吸わないようにする程度しかできないでしょう。
薬をつかった治療
飲み薬
ステロイドより副作用の少ない抗アレルギー剤が、かなり有効です。
点鼻薬
全身作用が少ないステロイドが入った点鼻薬が有効ですが、子供は嫌がることが多く、使いづらいのが現状です。
点眼薬
抗ヒスタミン薬というものを使いますが、症状がよくならない場合はステロイドの入った点眼薬を使用することになります。この際、副作用として注意すべきことは眼圧上昇の問題です。眼圧が上がると、将来“緑内障”の原因となりえますので、特に小児では眼の症状がひどくなければ、できるだけ使わずに治してあげることをお勧めします。
親の判断で花粉症と決め付けるのは要注意!
まずは主治医と相談して診断してもらうことをおすすめします
小児の花粉症は診断、治療ともに慎重を要します。よくご両親が花粉症の場合、「花粉症」と決め付け、漫然と市販の薬や、自分たちの薬を使ってしまう傾向がありますが、疑わしい場合はまず主治医と相談し、適切な診断のもと、必要最小限の治療を行うことをお勧めします。