平成20年12月19日から、日本でもHibワクチンの接種が可能となりました。欧米を含む、約100カ国ではすでに接種が行われ、効果をあげているワクチンなのですが、日本では導入が遅れていました。
そもそもHibワクチンというのはどんなワクチンなの?
Hibというのは、b型インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae type b)という細菌の略です。
これは一般に聞く「インフルエンザ」とはまったく違う病原体で、小児の髄膜炎の原因の約50%がこの細菌によるものです。
髄膜炎という病気は、脳や脊髄を覆っている髄膜というものに細菌が感染して炎症を起こし、命を落としたり、重い後遺症(聴力障害、てんかん)を残す率が約30%もある怖い病気です。
このHibによる髄膜炎を予防するために開発されたのが、Hibワクチン(アクトヒブ)です。
アメリカの調査では、このワクチンの導入により、Hib全身感染症の患者が、導入前の1%にまで減少しています。
これらをふまえて、日本でもHibワクチンの接種が開始されたのですが、まだ開始直後ということもあり、色々と問題点もあります。
Hibワクチンの問題点
1.日本向けのワクチンの本数が少ない!
Hibワクチンはすべて輸入品なのですが、日本はワクチンに対してきびしい規制があるため、輸入できるワクチンの数が極端に少なく、接種希望者が殺到した場合、それに見合うだけの数を確保できない可能性があります。
2.牛の成分が入っている!BSEの可能性
ワクチンの製造過程で、牛の血液、肝臓、肺、筋肉由来成分を使用しています。骨の成分は入っていませんが、BSE(いわゆる狂牛病)の感染の可能性については100%否定されてはいません。
ただ、20年以上も前から欧米では使用されており、発病の報告はないことなどから、安全性は確立していると思われます。
接種開始年齢により注射の回数が異なるので注意!
接種開始年齢により、注射の回数が異なります。
接種開始時期 | 初回免疫 | 追加免疫 |
---|---|---|
生後2ヶ月以上7ヶ月未満 | 3回 | 1回 |
生後7ヶ月以上1歳未満 | 2回 | 1回 |
1歳以上5歳未満 | 1回のみ |
*初回免疫は4~8週間をおいて注射する。
*追加免疫は初回免疫終了後、1年の間をおいて注射する。
5歳以上のお子様は、Hibによる髄膜炎の頻度が減ること、また5歳を過ぎるとHibへの抵抗力がついている可能性が高いため予防接種をしていません。
髄膜炎の重症化や後遺症のリスクを考えると、接種した方が良い!
色々と問題も多いHibワクチンではありますが、結論から言えば「接種したほうがいい!」ということです。
Hibによる髄膜炎の頻度は10万人に8人と、それほど高いものではありません。 しかし、万が一髄膜炎にかかってしまった場合の後遺症のことを考えると、リスクが高すぎると思います。
実際そのような保護者の声が国を動かした経緯を考えれば、5~6回の外食や、高価な買い物を少し我慢して、お子様にHibワクチンの接種されることをお勧めします。