平成28年10月から、新たにB型肝炎ワクチンの定期接種が始まります。水痘の接種も定期接種2回に変更になり、以前より予防接種のスケジュールがきつくなってきました。
そこで、B型肝炎ワクチンを含めた新たな予防接種のお勧めのスケジュールを考えてみました。
B型肝炎ワクチンとは?
接種のスケジュールのお話をする前に、B型肝炎ワクチンのことについてお話しします。前回のコラムでは、あわてて接種する必要はないと話しました。その理由は、以前までB型肝炎ウイルスは、基本的に血液や性的接触で感染すると言われていたからです。そのため、母親がB型肝炎ウイルス保有者(キャリア)である場合の母児感染予防目的のためには積極的に予防接種を行っていましたが、それ以外の人たちには希望があれば自費で接種を行う方針でした。
ところが近年、歯科治療、鍼灸、歯ブラシなどによる感染や保育所での集団感染等が報告されるようになり、唾液などによる感染(水平感染といいます)の可能性もでてきたため、定期接種となりました。
定期接種の注意点
接種対象者ですが、平成28年4月1日以降に生まれた、1歳になるまでの乳児です。接種は計3回行います。標準的な接種スケジュールは生後2ヶ月になったら1回接種し、その約1ヶ月後に2回目、2回目から約4~5ヶ月開けて3回目の接種を行い、終了です。
ただ、このワクチンは公費の期間が非常に短く、1歳を1日でもこえると自費での接種になってしまうので、注意が必要です。4月生まれの子が1歳になるまでに3回接種するには、時間的にかなりきついと思われます。
そのため横浜市では、平成28年4月から7月生まれの子に限り、1歳を超えても平成29年7月までは公費で接種を行えることになりました。
お勧めの接種スケジュール
これらのことをふまえた上で、私のお勧めの予防接種スケジュールを考えてみました。
1歳まで | 1歳以降 |
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①ロタワクチン(2回) ②ヒブ、肺炎球菌の1回目の同時接種 ③4種混合、B型肝炎の1回目の同時接種 ④ヒブ、肺炎球菌の2回目の同時接種 ⑤4種混合、B型肝炎の2回目の同時接種 ⑥BCG ⑦ヒブ、肺炎球菌の3回目の同時接種 ⑧4種混合、B型肝炎の3回目の同時接種 |
①麻疹風疹(MR) ②水痘1回目接種 ③おたふくかぜ ④ヒブ、肺炎球菌追加接種 ⑤4種混合追加接種 ⑥水痘2回目接種 |
ここには接種の順番だけを書きましたが、それぞれの接種間隔には違いがあります。この順番に沿って、受診ごとに次に何をいつ接種するかを相談しながら進めていくことがよいと思います。
尚、当クリニックでは基本的に同時接種を不活化ワクチンに限り2種類までとしていますが、生後6ヶ月までの接種スケジュールがかなり時間的にきついためロタワクチン、ヒブ、肺炎球菌の3種類同時接種のみ希望があれば行います。