6月になるとテレビの天気予報などで紫外線情報が盛んに放送され、日焼け防止の注意を促しています。最近、来院されるお母様たちからも「子供に日焼け止めを使ったほうがいいのでしょうか?」という質問が多くなりました。
紫外線は1日10分も浴びれば十分。紫外線対策を重視しましょう。
1980年代中ごろ、オゾン層の破壊などの地球環境の変化に伴い、紫外線が皮膚の老化や皮膚がんの原因となることとが証明され、大人(特に女性)の紫外線対策はだいぶ充実されてきました。
一方、子供への紫外線対策については「小さいうちは日光浴をさせたほうがいい!」「赤ちゃんのうちからしっかり紫外線対策をしておいたほうがいい!」など、様々な意見があり、きちんとした指針がありませんでした。
子供の頃の日焼けは10日もすれば、一皮むけてシミ、シワなどのない健康そうに見える小麦色の肌になるだけですし、適度な紫外線は骨形成を助けたり、皮膚の殺菌作用などの良い面ももっています。
しかし、紫外線は1日10分で十分に骨形成を助け、18歳までに、生涯における紫外線量の約半分を浴びることもわかってきました。
これらのことをふまえ、1998年に母子手帳から「日光浴のすすめ」という記載がなくなり、むしろ子供の頃から紫外線対策が必要であることが常識となってきました。
子供の頃に紫外線を浴びすぎることが、将来のシミやシワの原因に
一般的に、長年にわたって日に当たりすぎると、20歳を過ぎた頃から皮膚に対しシミ、シワなどの光老化症状というものを引き起こします。原因は、紫外線が皮膚の細胞の遺伝子に多数の傷を与え、時には遺伝子が正常に戻らないような変化をおこさせることによります。
シミ、シワというと何となく大人の病気という印象がありますが、成人に比べ小児期は皮膚の細胞分裂が盛んなため、このような遺伝子の変異が生じやすい時期です。小児期に日焼けをすると、肉眼では見えないものの光老化への第一歩となり、20歳頃から皮膚に老化現象が現れ始めます。
子供の頃からの日焼け予防は、大人になってからの皮膚の老化予防のためにも重要なことなのです。
子供の紫外線対策は、低刺激・ベタつかない日焼け止めがおすすめ
大人の日焼け予防といえば、長袖や帽子、サングラスの着用や日焼け止めの使用などが有名ですが、理屈のわからない子供に帽子やサングラスを使用しても嫌がって取ってしまいます。そうなると日焼け止めを使用して予防するしかありません。
ただ子供の肌はデリケートで、日焼け止め効果の強さだけを考えて刺激の強いものを塗るとかぶれたり、べとついて嫌がったりします。そのため子供の日焼け止めにはできるだけ低刺激性のベタつかないものを使ってあげることをお勧めします。
日焼けはさせたくないけど、子供は元気いっぱい外で遊ばせることも大切です。子供にも使える日焼け止めを選択することは、親として大切な責任の一つとお考えください。